コンテチーズ
FRANCE

5分で読める。よくわかるフランスワイン講座5/ ジュラ

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ジュラ地方はスイスとの国境に接するワイン産地で、フランス人が一番好きだというハードタイプのコンテチーズのふるさとです。

ジュラといえば、Vin jaune(黄色いワイン)。
赤でもなく、白でもなく、黄色のワインとは?
一体どんなワインなのか見ていきましょう。
さあ、Bon voyage!



歴史

ジュラ地方のワインの歴史は古く、紀元前79年の書物にはワイン栽培についての記載があります。
広く知られるようになったのはブルゴーニュ侯爵が統治していた14世紀。

その後18世紀にはブドウの品質向上のために多大な労力が費やされました。
19世紀半ばの全盛期には早飲み用の赤ワインが主流でしたが、現在は異なり、長期熟成に向いた白ワインが有名です。

ジュラ地方は偉大な研究者を生み出しています。

1822年に生誕したLouis Pasteurは牛乳の低温殺菌と炭疽菌および狂犬病ワクチンの開発のほかに、アルコール発酵についても研究し、酵母による発酵をyeastと名付けました。

1828年に生誕したCharles Rougetは同じブドウ品種が地域によって違う名前でよばれていることに注目。

1867年に生誕したAlexis ArpinはArbois生産者として原産地呼称を擁護することを提唱し、1936年に初めてのAOCが認定されました。

1838年に生誕したAlexis Millardetはベト病を克服するためのボルドー液の発案者であるとともに、フィロキセラからブドウを守るためにアメリカの台木を接ぎ木する先駆者でした。

地形・土壌・気候

約2億5,000から1億4200万年前のジュラ紀の名前は、この時代の泥灰土がジュラ山脈から発見されたことに由来しています。
コートドールとの境界はブレス平野によって分断されていました。

Blind Valleyは石灰岩でできた狭くて急な谷で、こうした光景がジュラ地方でよくみられます。
ほとんどのブドウ畑は標高200〜400メートルのところにあります。

表土はさまざまで、そのほとんどがMarl(粘土石灰岩)ですが砂質土壌もみられます。
ジュラ地方は半大陸性気候。冬は非常に寒く、夏は非常に暑いです。

隣のブルゴーニュと比べて降水量がはるかに多いのでブドウの腐敗リスクがあります。
またこの15年でブドウ畑の気温が上昇しており、春の遅霜や雹にも注意が必要です。

品種

白ブドウ

・一番多く栽培されているのはChardonnay(=Melon a Queue Rouge, Melon d’Arbois, Gamay Blanc)で66%を占め、石灰岩土壌を好みます。

・Vin Jaune(黄色いワイン)を生み出すSavagnin Blancは高い酸味を持ち、長期熟成に適しています。
灰色や青色の粘土石灰岩土壌を好み、34%を占めています。

ブドウ畑


黒ブドウ

・Poulsard(=Ploussard)はブドウ全体の40%を占めています。
スパークリングCrémant du Juraのロゼや甘口のVin de Pailleに使用されます。

果皮が薄く、淡い色のワインを作り出しますが、病害に弱いので栽培するのが難しいです。ジュラ地方固有品種で15世紀の文書にも登場しています。

・Pinot Noirは37%と黒ブドウの中では2番目に多く栽培され、Crémant du Juraや酒精強化ワインMacvin du Jura、赤ワインにも使用されます。

霜には弱いですが確実に熟すため、通常は一番最初に収穫されます。

・TrousseauはポルトガルのBastardoと同一品種でスペインにも様々な名前で存在しますが、ジュラ地方固有品種と考えられています。
かなり暖かい砂利や石の土壌、南向き斜面の赤い泥灰土を好みます。
18世紀にはその存在が知られていました。

AOC

ジュラ地方の代表的なAOCをご紹介します。

◾️Arboisは13の村にまたがる一番大きいアペラシオン。
1938年にフランスで最初にAOCを取得した生産地のひとつです。

5つのブドウ品種すべてが栽培されていて、ジュラ地方では珍しく赤ワインの生産が多く70%、白ワインは30%です。

◾️Chateau-ChalonとしてAOCを名乗れるのはSavagninから造られるVin Jauneのみ。
オーク樽に6年間入れっぱなしで酸化させるため、3分の1の量に凝縮され、アルコール度数が高く、「黄色いワイン」と呼ばれます。

ブドウ畑は毎年評価され、アルコール度数、健康状態、収穫量が基準に満たないと、その年はChateau-Chalonとして販売できません。

◾️L’Etoileはフランス語で星という意味。
星の形のような位置にある5つの丘に囲まれているのとペンタクリンという星型の化石が土壌に含まれているのでこの名がつきました。

最も多く栽培されているのはChardonnayで、生産は白ワインのみ。
Vin de Pailleに赤いワインが含まれていても、白ワインのカテゴリーに入ります。

◾️Macvin du Juraは甘口の酒精強化ワイン。
酒精強化した後、10ヶ月以上樽熟成され、アルコール度数が16から20%になると販売します。

5つのブドウ品種はすべて使用することができ、赤と白のマクヴァンがありますが、ほとんどの生産者はChardonnayから白を造っています。

◾️Crémant du Juraは手摘み収穫された100%Chardonnayから造られるスパークリングです。
18世紀からこの地方で生産されてきました。

1995年までは瓶内二次発酵の伝統式製法で造られ、Vin Mousseuxとして販売されていました。
クレマンの90%は白でBrut(辛口)かDemi-sec(やや辛口)があります。

ロゼは50%以上Pinot Noir、Trousseau、Poulsard(=Ploussard)を使用しなければなりません。

ロゼ泡

ワインスタイル

ジュラ地方にはスティルワイン、スパークリング、ブランデー(Marc, Fine)等、さまざまなスタイルが存在します。

1)白ワイン

2つのタイプがあります。
酸化熟成を経るものはWith ullage(=Sous ouille)と呼ばれ、樽上部の隙間にフロール(表面酵母)が形成され、酸素と触れ合わせます。
こうしたワインはクルミ、ヘーゼルナッツ、スパイスのアロマを持ちます。

一方で、Without ullage(=Ouillé)と呼ばれるものは、樽いっぱいまでワインを満たして隙間を作らず、酸素に触れさせない通常の白ワインと同様のスタイルです。

2)赤ワイン

ほとんどが早飲み用で、淡い色、高い酸味、低いタンニンです。
Pinot NoirとTrousseauから造られるものはブルゴーニュと似たスタイルで6ヶ月から18ヶ月の間、オーク樽で熟成されます。

3)黄色いワイン=Vin Jaune


Jauneはフランス語で黄色。Savagnin Blancから造られます。
発酵完了後に樽に移されたワインは上部の隙間から酸素にゆっくりと触れていきます。
60ヶ月もの間、ワインをつぎ足したり動かしたりすることはできません。

その結果、薄い酵母膜フロールが形成されシェリー酒に似たスタイルになります。
何十年も保存が可能です。
ワインはビンテージから6年3ヶ月後、または収穫から7年経った1月まで瓶詰めしてはいけません。

そうして出来上がったワインは凝縮され3分の1まで量が減り、紹興酒に似たアルコール度数の高い極辛口になります。
色も酸化して黄色くなるため「黄色いワイン」と呼ばれます。

ウイスキーボトルに似たClavelinという620mlの瓶を使用することが法律で定めされています。
なお、AOCのカテゴリーとして認められていません。

4)麦わらワイン=Vin de Paille (Straw wine)

ブドウは傷のないChardonnay, Savagnin, Trousseau, Poulsard(=Ploussard)を使用します(Pinot Noirは使用禁止)。

収穫したブドウを藁の上に置いたり、天井に吊るして6週間以上乾燥させるため、糖分が凝縮するので甘口になります。

Pailleとはフランス語で麦わらを意味します。
昔は藁の上で乾燥させていたので、名前の由来になりました。
12月の終わりから2月の間に水分が抜けたブドウをプレスし、アルコール度数が14から15%になると発酵を止めます。

その後18ヶ月以上樽熟成されます。プルーン、ハチミツ、キャラメルのアロマが生まれます。
ビンテージから3年は販売されません。常にハーフボトル375mlで販売されます。

AOCではありませんが、生産はAOCの規定(最低アルコール度数14%)に準拠しています。

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