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11月の第3木曜日に解禁されるボージョレ・ヌーボー。毎年楽しみにしていらっしゃる方も多いと思います。
デザートにも合うフルーティーな赤の生産地。
看板商品のヌーボー(新酒)が生産の3分の1を占めますが、それ以外にも美味しいワインがあるボージョレ地方を見てみましょう。さあ、Bon voyage!
歴史
ボジョレーの歴史は古く、中世時代にローマ軍が支配していたことからジュリアス・シーザーの名前がつけられている畑もあります。ボージョレ・クリュのひとつJuliénasです。
10世紀にこの地域を治めていた公爵の名からつけられたBeaujeuという町の名が、今日のボジョレーの由来になっています。
19世紀に鉄道網が拡大するに連れ、ワインビジネスも発展しました。
1950年代にen primeurという新酒を楽しむ習慣がパリの人々の間で人気になり、ボジョレー・ヌーボーの基礎が出来上がりました。
1951年にボジョレーの組織団体が11月15日を新酒の発売日と定めたのが正式なボジョレー・ヌーボーの誕生です。
その後、1985年にフランス政府のINAO(AOCを管理する組織団体)が11月の第3木曜日と定めました。
ボジョレーヌーボーの人気は生産量の3分の1を占めるまでとなったのです。
気候
ボジョレー地方はニゼラン川によって北部と南部に隔てられています。
ボジョレーの気候は半大陸性気候。
ただし、地中海に近いため、夏は暖かく、乾燥しがちです。
春は気温が低く湿気があるため、遅霜の恐れがありますが、ボジョレー山が冷たい風からブドウ畑を守ります。
秋は暖かく、収穫時には雨が心配されます。
特にガメイ種は灰色カビ病に注意する必要があるため、キャノピーマネジメントで風通しを良くし、湿気から守ることが重要です。
土壌
多くのAOCはボジョレー南部の泥灰土と石灰岩による土壌で造られています。
冷たい粘土質の石灰岩で、Pierres Dorées=黄金色の石として知られています。
ワインはボディが軽く、フルーティーで飲みやすいタイプになります。
一方、ボジョレー北部ではより上質なBeaujolais VillagesとCrusのほとんどが花崗岩と片岩質の土壌から造られます。
ミネラルが豊富な砂質で、総称してarèneまたは gorrheと呼ばれます。
日光を最大限に取り入れられる南東向きの斜面にある畑から構造的で複雑なワインが生産されます。
全体の地層としては南部より、北部の方が古いです。
北部と南部では、土壌、地形、栽培方法が明らかに異なります。
品種
ボジョレーで栽培される98%は黒ブドウのガメイ種です。
全体で15,403ヘクタールのうち、わずか231ヘクタールのみ白ワインが生産されます。
すべての白ワインはシャルドネから造られ(15%までブレンド可能)、すべてのCrusは100%ガメイ種の赤ワインです。
・Gamay Noir
・Pinot Noir
・Chardonnay
・Aligoté
・Melon de Bourgogne
・Pinot Gris
栽培
ボジョレー北部では、昔からワイヤーなどは使わないGoblet (ゴブレ)仕立てでブドウを栽培していました。
地面に近く、短梢を残して剪定され、新梢が垂れ下がらないよう束ねます。
ワインなどの飲み物を入れるコップのようなゴブレの形をしていることからそう呼ばれています。
メリットは、収穫量が制限されるので、より風味が凝縮し、熟成に向く、フルボディスタイルの高品質のワインが出来ます。
一方、デメリットは手摘み収穫のため、日中の作業しかできないことや人件費がかかること。
現在では機械収穫が可能なワイヤーを使ったコルドン(腕枝)方式に変わってきています。
南部は8から20個の芽が残るように熟梢を長めに切り、ブドウ棚に水平に固定したギュイヨー方式を取り入れています。
ワインスタイル
▪️Red and Rosé
萌芽と成熟が早いガメイ種から造られるワインは半炭酸ガス浸漬法により発酵させます。
タンクいっぱいにブドウを房ごと入れ、重みで潰れて流れ出た果汁が発酵することで、新鮮な果実の特徴が現れます。
その後、オーク樽/ コンクリート/ ステンレスタンクなどで熟成期間に入ります。
赤ワインは辛口。ボジョレー・ロゼの生産も増加傾向にあり、フランス以外では日本やイギリスで人気があります。
AOC認定を受けていないもののここ数年で注目されているのが、甘いスパークリング・ロゼ。
糖分を残したまま、途中で冷やしてアルコール発酵を停止させる方法が使われます。
そのため、アルコール度数は低いです。
▪️White
ごくわずかですが、シャルドネから白ワインも生産されています。
フレッシュな果実味を守るため(酸化させない)コンクリートやステンレスタンクで発酵させることがほとんどですが、中にはマロラクティック発酵(尖ったリンゴ酸から丸みのある乳酸に転化させる)を経て、クリーミーでふくよかな白ワインを造り出す生産者もいます。
バターやナッツの風味があるミディアム〜フルボディのスタイルになります。
品質としては上質のCruではなく、村名がついたBeaujolais-Villages Blancか、Beaujolais Blancです。
▪️Sparkling
シャンパーニュと同じ伝統的な瓶内二次発酵を経たCrémant de Bourgogneと同じ製法で、シャルドネ、ガメイ、ピノ・ノワールから少量ですが造られます。
ボジョレー・ヌーボー
前述したように、ボジョレーではヌーボーが全体の生産量の3分の1を占めています。
96の村すべてが生産を許可されています。平均の生産量は5000万本です。
ラベルには必ず”Nouveau”もしくは“Primeur”と表記されます。
「新しい」「初物」という意味です。
販売開始はブドウ収穫後、11月の第3木曜日から。
時差の関係で(フランスとはマイナス8時間)日本では本国より早く味わうことができます!
あまり知られていませんが、「翌年8月31日を過ぎたらヌーボーを売ることはできない」という厳格な決まりがあります。
Cru AOCs
ボジョレー地方のワインといえば、ヌーボーに代表されるように、ライトボディでフルーティー、早飲み向き、そしてお手頃価格というイメージがありますね。
ですが、もちろん、タンニンがしっかりしたフルボディタイプ、長期熟成向きという上質なワインも生産されています。
それがCru AOCs。ラベルに”Cru”(クリュ)と表記されています。
すべて手摘み収穫され、ガメイ種から造られた赤ワインのみ。
10のAOCの中からいくつか代表的なものをご紹介します。
▪️Chénas(セナ)
1936年に5つのAOCが認定されましたが、その中の一つで、243ヘクタールと最も面積が小さいChénas。
地元では”ベルベットの花束”と言われいます。
18世紀に非常に高価なワインをパリに輸出したことで有名になり、国王ルイ13世のお気に入りだったそうです。
長期熟成することでポテンシャルを発揮するタイプで、10年近くセラー熟成する方が良いワインもあります。
バラなどのエレガントな花のアロマが特徴です。
▪️Moulin-à-Vent(ムーラン・ナ・ヴァン)
同じく長期熟成に向くスタイルのワインを生み出すMoulin-à-Vent。
ムーランは「風車」という意味で、1930年に歴史的建造物に指定された本物の風車があります。
10のクリュの中で最もタンニンが多く、フルボディの力強いワインのため、King of Beaujolaisとも言われています。
若いうちはスミレの花、チェリーやプラムのアロマを持ち、熟成するにつれて、ドライフルーツ、トリュフ、スパイスケーキのアロマに変わっていきます。
ピノ・ノワールに似ていることから地元ではpinoterと呼ばれると知って納得。
初めてムーラン・ナ・ヴァンを飲んだ時、あまりにも美味しくて、それからしばらくは必ずセラーにストックしていました。
私のようにピノ・ノワール好きの方にぜひおススメしたい一本です。
ブルゴーニュ地方のブドウ栽培地域クリマ/ 黄金の丘から生まれる奇跡