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コロナ禍のためオンラインで開かれたユネスコ=国連教育科学文化機関の第44回世界遺産委員会が先日閉幕し、今回は34件が登録されました。
日本からは文化遺産に「北海道・北東北の縄文遺跡群」、自然遺産に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が選ばれています。
北海道・北東北の縄文遺跡群
今から約15,000年前から約2,400年前までの縄文時代。
人々は自然豊かな環境の中、海や山地から食糧を確保して土器を使用し、定住を開始しました。
そうした中で構築された集落や墓地、祭祀・儀礼の場である環状列石など生活の実態を示す17の遺跡が世界遺産として認められました。
奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島
もう1か所、今回世界遺産に登録された奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島の4つの地域は面積が42,698ヘクタール。海流の黒潮と亜熱帯性気候の影響で、生物多様性が突出して高いことが評価されました。
絶滅が危惧されているアマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなどが生息する貴重な場所です。
登録を外された世界遺産
忘れてはいけないのが、新たに登録された世界遺産がある一方で、外された世界遺産があるということです。
残念ながら2004年に世界文化遺産に登録されていたイギリス中部の商業都市「リバプール」は再開発が問題視され、今回登録から外れてしまいました。
過去にもオマーンの「アラビアオリックスの保護区」が2007年に、ドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」が2009年に、それぞれ登録を外されました。
危機遺産リスト
世界遺産から外されることは保有する国にとって、とても不名誉なことです。
ですが、いきなり外されるのではありません。
まずは「危機遺産リスト」に登録されます。
その名の通り、武力戦争や自然災害、大規模な商業開発などで、その顕著な普遍的価値を損なうような重大な危機にさらされていると判断された場合に限ります。
そして世界遺産基金へ財政的支援を申請するなどして回復に努めることができるのです。
ユネスコのHPによると、2021年8月現在、52件がList of World Heritage in Danger(危機遺産リスト)に記載されています。その多くがコンゴ「ヴィルンガ国立公園」、イエメン「古都ザビード」、マリ「アスキア墳墓」などアフリカ大陸に集中しています。
世界遺産を守り、普遍的価値を維持していくには各国の財政支援が欠かせませんが、開発途上国など資金が潤沢では無い国は大変厳しい現状と向き合っています。
奇跡の復活、カンボジア
そうした厳しい状況をくぐり抜け、奇跡の復活を果たした世界遺産もあります。
カンボジア王国の「クメール王朝の遺跡、アンコール」です。
内戦による破壊や略奪によって1992年に世界遺産に登録されると同時に危機遺産も登録されましたが、日本やフランスの支援により、2004年に危機遺産から脱しました!
ただ、私が訪れた2019年には大雨などで劣化が進んでいました。
同行してくれたツアーガイドさんがアンコールワット遺跡の壁画を指差し、「この部分は1週間前には崩れていなかったよ。他にもあちこち崩れそうなところがあるよ」と教えてくれました。
気象現象による劣化を防ぐのには限界があるかもしれませんが、二酸化炭素排出による地球温暖化は人の手によって防ぐことが出来るはず。
改めて環境について考えるきっかけになった東南アジア旅行でした。
アンコールの遺跡群/ナイト・マーケットでアリババパンツ
予備評価導入へ
また、今回ユネスコは遺産登録の手続きで、各国が推薦書を提出する前にユネスコの諮問機関が予備評価する制度の導入を決めました。
2023年には制度を始め、2028年の委員会からは予備評価を受けていない候補は登録審査をしないということです。
この予備評価は書類審査として行われ、各国は毎年9月までに評価を申請し、およそ1年後に通知される結果を踏まえて内容を練り上げます。
この段階がとても大切で、世界遺産に相応しくないと判断されれば、事実上の門前払いとなる可能性もあります。
つまり、従来の審査の前にワンクッション置く。本番前に書類審査でふるいにかけられる形です。
この背景には、すでに世界遺産の総数が1000件を超え、遺産としての質の低下が懸念されているという実情があるためです。
日本の世界遺産候補
文化庁のHPによると、「松島=貝塚群に見る縄文の原風景」「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」「四国八十八箇所霊場と遍路道」などが文化資産の候補として挙がっています。
観光誘致としても大きな役割を果たす世界遺産登録。
「世界遺産検定3級」を持つ身として、今後1つでも多く登録されるよう注目していきたいと思っています。